SNSで見られる中古靴への雑感
昨今、一般人がメディア化している。
それはSNSの急速な普及により、インフルエンサーがより民間化しているからに他ならない。
そのなかでスーツやジャケット、革靴など紳士のアイテムについても投稿が記述が多く見られるようになった。
これまでなかなか得ることが困難だった情報をいとも容易く入手でき、様々な人の異なる意見や考え方にも触れることが増加した。
その一方で、僕はこれだけは理解できないことがある。
ユーズドの革靴を購入し、それをSNSで浅ましく自慢するその気持ちだ。
これは一体どういうことなのだろう。
ALDEN、PARABOOT、JOHN LOBBやEDWARD GREEN、ANTHONY CLEVERLYなどの本格的な靴を某オークションサイトや中古店で安く買って、それをSNSに投稿する。
そこになにがあるというのだろう。
グッドイヤーウェルト製法でつくられた靴というのは、本来試着も含めて誰かに足を入れられた瞬間にインソールのコルクは変形するし、アッパーもその足型の記憶を始める。
まして新古品ならいざしらず、ユーズド品ではもうその靴が本来持つ履き心地は得られないのだ。
自分の足型は世界にただひとつ。
その足型に合わせて変形してくれるのがグッドイヤー製品なのだ。
だから極めて履き心地がよく、長い期間に渡って靴として機能してくれるわけだ。
それなのにユーズドで買ったものは、すでに他人のフットプリントが形成され、アッパーに刻まれたシワも他人のそれではないか。
唯一の利点は安い、だけ。
安く購入したいということについては、一定の理解はあるものの、
それなら安く新品で購入できるメーカーを探すべきなのだ。
安くユーズドで買ったJOHN LOBBより、新品で買った三陽山長のほうがよほど購入者に寄り添い、しっかりと足元を支えてくれるのではないだろうか。
SNSには新品でしか買わない、あるいはそうであろう層も多く見ることができる。
やはり彼らの着こなしと装いは靴だけでなく、全身でコーディネートされバランスに長けたものである。
美しく着こなしたジャケットやシャツが中古であるはずがなく、
それは靴にもあてはまるわけだ。